三重の建設業の方へ-このようなことでお困りではありませんか-

建設業でよくあるトラブル

追加工事費などの債権回収をめぐるトラブル

 建設業では、工事代金をめぐるトラブルが大きな課題となっています。

 

【トラブルの原因】

弁護士が関与した案件を紐解いてみると、代金トラブルは、以下のような事柄が原因となっているケースが多く見受けられます。

✓契約書が無い
✓具体的な仕様が口頭のみの指示・協議等で済まされている
✓設計図書に条件明示のない事項について、発注者と協議を行わず、請負者が独自に判断して施工を実施している
✓注文者の指示・協議した事項が下請けに正確に伝わっていない
✓請負者が諸事情から発注者の仕様を上回る工事を行っている

 今後の新たなトラブルを避けるためにも、1つでも自社に当てはまるものがあれば、直ちに見直しを行うことをお勧めします。

 

【トラブルの解決事例】

追加工事費用や請負残代金の支払いを求めて、施主等との間で交渉を行い、回収を図った事例があります。

もちろん、交渉では解決しないケースもあり、そのような場合は、速やかに調停を申し立て、裁判所を利用して解決を図った事例もあります。

 

【トラブルの予防】

工事の特徴を踏まえた対応が必要

トラブルを予防するためには、それぞれの工事の特徴を踏まえた対応を行う必要があります。

 

 

機械・電気設備工事の場合

工事の特徴

例えば、機械工事や電気設備工事であれば、各製造業者が独自に開発・製造・調達する装置・機器及びそれらを組み合わせたシステムが主要な目的物となっているケースがあります。

そのような場合、主たる装置・機器に製造業者固有のノウハウ等に係る「性能発注」的な要素が含まれることになります。

 

トラブルとなり得る要因の一例

工事を進めていくと、以下のような状況が発生し、工事費用の大幅な増加が予想されるにもかかわらず、当初の見積金額が変更されないまま、工事が進んでいくことがあります。

 

✓設計図書に明示された施工方法が現地条件と一致せず、別の工事用仮設備 が必要となった
✓使用可能と想定していた既存設備や既存部品が実際には使用できず、新た に代替仮設備、新規調達が必要となった

 

トラブルの顕在化

工事完成後、請負者が注文者に対して追加工事代金を請求した場合、注文者側は、当初の設計図書、見積金額で「注文者が求める性能を発揮するシステム」が完成すると認識しているため、支払いを拒否される可能性があります。

 

対応策

当初の契約時点で、可能な範囲で必要な条件明示を適切に行うことや、現地条件との不一致が発見された時点で、直ちに工事監督者又は注文者に通知し、設計図書の変更や工期、請負金額の変更について協議を行うことがトラブルの予防となります。

 

労災事故の対応

労災事故

建設現場には多数の業者が出入りしており、事故や問題が生じた際、適切に対応をしなければ、法的リスクが大きくなるおそれがあります。

特に、労働災害が発生した場合は、被害者から訴えられるだけではなく、場合によっては会社や会社の代表者が刑事責任を問われる危険性があり、注意が必要です。

 

【会社や会社の代表者が刑事責任を問われた事例】

東京地裁令和元年5月21日判決

現場:マンションの大規模修繕工事

事故:架設足場の解体作業中に下さん1本が地上に落下し、歩行者に直撃して死亡

結論:会社内の安全軽視の風潮を放置し従業員の労働法規違反を招来する環境を成形していたのであるから、その安全対策、安全教育への意識の低さは強い非難に値するとして、有罪

 

那覇地裁沖縄支部平成30年11月8日判決

現場:傾斜地における駐車場造成工事

事故:作業員2名が、高さ約7.6mまでほぼ垂直に積み上げられた擁壁上でその内側に盛り土をするなどの作業を行っていたところ、同擁壁及びその内側の地山の崩落により転落し、1名は重傷を負い、1名は死亡

結論:会社の代表者は、より安全な工法があることを認識しつつ、自身の経験のみを根拠に、擁壁が崩落することはないだろうと軽信し工期を短縮させ費用を抑えるため、危険な工法を選択したとして、有罪

 

高知地裁平成25年3月1日判決

現場:地下1階地上17階建て建築中マンションの内装工事

事故:溶接作業を伴う軽量鉄骨の組立作業中、溶接作業による火花がウレタンフォームに引火して燃え広がり、115名の作業員が働いていた建物に火が燃え移って階上まで延焼し、エレベーター取付作業中の被害者が焼死

結論:下請会社の代表者は、ウレタンフォームの危険性を認識し、早くから対策を立てておくべきとして、有罪

孫請会社の代表者は、現場の状況をよく把握していたのであるから、具体的状況に応じた適切な措置を採ることが期待できたとして、有罪

対応方針

速やかな労災対応

労災事故が起こってしまった場合、どのような事情があろうが、労災隠しは厳禁です。

労災隠しは、会社と経営者の首を絞める行為ですので、絶対に行ってはいけません。

会社を成長させるためにも、速やかな労災対応を行いましょう。

 

速やかな弁護士相談

労災事故が起こってしまった場合、一日も早く弁護士に相談してください。

法的リスクが大きくなることを防止するため、事故直後の状況確認や被害者対応、労基署対応など初動対応を適切に行う必要があります。

 

顧問弁護士の活用をご検討ください

債権回収のトラブルや労災事故を予防するためには、予防のための仕組み、体制を構築し、実行することが不可欠です。

業績を伸ばしている会社は、顧問弁護士など専門家の関与のもと事故やトラブルを予防するための体制作りを行っています。

問題が生じたとき、目の前の問題を解決するだけではなく、顧問弁護士とともに予防のための仕組みを作り、実行していくことを是非ご検討ください。

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